書物や他人の話の中から「これは良い話だ」と思い、気軽に使って失敗する人を見たことがあります。
その話自体は本当に価値のある話だったのですが、その人が話した時には全く逆効果になってしまったのです。

上りの電車に乗らなくてはいけないのに下りの電車に乗るようなものです。
どちらも同じ早さ〈懸命さ〉で走っているのですが、回りの状況を見ていないために自分がどちらに向かっているのかも分からない。

とにかく自分の考え〈目的〉を実現するために他人の言葉を意味なく引用する。
そして失敗をしてしまう。
それは油断をすると気がつかないうちに誰の場合にでもそうなってしまうことなのかもしれません。

人の体験から出た言葉を、さも自分が身につけたかのように使うのは格好がよかったり、偉い人になったかのように見えるものですから、知らず知らずにおかしな方向へ走り出してしまいがちです。
所詮、借り物の考え方では駄目なのです。
そうではなくて自分がその考え方に習うことがもちろん大切なことなのです。