「行き着く港のない船に、風は決して帆を押さない」(ミシェル・ド・モンテーニュ)

 

昨今の混迷する社会と全く先が見えない〝大時化(しけ)の海〟のような経済を背景に、この僅かな一文を重ね読めば、その意味は理解し難くとも、実感するところは、少なからずあるのではないでしょうか?

帆船は逆風をも推進力に変えて、前進するといいます。つまり、どのような状況下に置かれようとも、目的を見失わず、目的地へと向かう信念を失わない限り、〝逆風だから・アゲインストだから〟と言って、帆を降ろし立ち止まっていることはない。また、海が時化ているからといって、臆病に手をこまねいていることもない。もしそうであれば、まさに漂流。大海原を彷徨い流され、座礁するのを待つだけになってしまう。事実、このアゲインストの風を読み、逆風を掴み前進と拡大の力にして進んでいる船=企業も存在しています。

偉大な冒険者として知られる「キャプテン・クック」(イギリス海軍大佐 ジェームズ・クック)の航海エピソードにはこうあります。

「難破の危機も一度や二度ではなかった。その航海は苦難の連続だったが、クックはじめ乗組員は怯まなかった。そこには、何が起ころうとも、起こることを楽しんでやれ!といった明るい楽観主義があったからだ!」と。ここに言う〝楽観主義〟とは、裏づけのある楽観主義であります。その〝裏づけ〟とは……。それは、〝確かな羅針盤と海図(航海図)〟を持っていることであります。もし、この裏づけがなければ、単なる〝のんきな楽観主義〟になってしまいます。

 

また他のエピソードには、こうあります。

「今度こそ!というチャレンジ精神と、なんでもやってやろう!という前向きで勇気ある冒険精神があった」と……。確かに、果てしない大海原を安全に航海するだけの知識や技術は必要です。能力も才能も欠かせないでしょう。ただし、最終的に問われるのは、キャプテンはじめ乗組員という人間自体=人間そのものであると言っているのではないか。そして、目的地までの〝正しい羅針盤と海図〟が必要不可欠であると。何より、私たちはこの荒れ狂う社会・経済という名の〝人間海〟のなかで、激しく波にもまれ、自らの信念の航路を切り開いて行くことによって、私たち自身が鍛えられ磨かれ、その結果として会社・組織も強くなっていくものと考えます。〝激しい波〟とは、たとえれば、社会構造変化や大資本といった巨大な波のことであります。中小零細といった弱小・非力なものの全てを飲み込み、跡形もなくしてしまう、まさに〝怒涛の波〟のことであります。

ともあれ、このような時代だからこそと、どんなに苦しくとも、厳しい環境であろうとも、「頑張ろう!」、そう言って実際にみな頑張っていることは充分承知しています。ただ、見方によっては頑張るという〝消耗戦〟になっているような気がしてなりません。〝消耗戦〟とは、努力が努力として報われないことを意味し、そのことの本質は、〝確かな羅針盤と海図〟を持たずに頑張っている姿とも言えます。これはまさに「行き着く港のない船」であり、「風は決して帆をおしてはくれません」。

故に、私たちは、事業経営を含む人生経営という〝大航海〟における〝羅針盤と海図〟、これを成功哲学ともサクセス・メカニズムともいって、提供し続けております。これからも、この一点においては一切変わることはありません。否、この一点こそ私たちの生命線であり、プライドとして、本年の一年間も皆さんと供に、この経済界(海)の只中で戦ってまいる所存であります。

キャプテン・クック第一号の探検船の名は「エンデバー(努力)号」でした。皆様方一社一社が一艘の船とし、一人ひとりがキャプテン・クックであり、乗組員として、改めて、それぞれの希望の港へと帆を揚げていただきたい。

 

2019年1月22日、東京湾に面した天王洲アイルにて、新発式あらため『2019ニューイヤーコンベンション』を開催します。本イベントに参加された皆様にとってこの一日が「希望の港に向けての出航の日」となることを、心から念願しております。