無限提言128 回 12 月号

目的の存在

2016年も残すところあと1ヶ月、師走である。何かと気忙しい年の瀬を迎えますが、新年に向かい、来年はこれに挑戦しよう! あれもはじめてみよう! と思いを巡らせている時期ではないでしょうか。そして、クライアントオーナーにおいては、来年こそは是が非でもこの難局を乗り越えたい、新たな展開で流れを起こしたいと新年に向けて強い決意を胸中に抱かれていることと思います。

今年度の弊社のテーマを“KAKUSIN”と定めたことは前号で紹介いたしました。そこで、あるクライアントオーナーが「私達も“KAKUSIN”をテーマにし、さっそく“百作戦”を実践しています」とのことでした。オーナー曰く「百個を箇条書きにして、一つひとつ実行して消していくのは結構大変ですよね」と。そんな懇談の中で、私は敢えて確認させて頂きました。「百作戦の目的は? 何の為でしょうか? 100項目を0にすることではありませんよね」と。それは言葉じりをつかまえた理屈ではなく、むしろ共に目指すテーマを実現していきたいとの思いからです。私たちは、往々にして手段と目的を誤ってしまうものです。真剣に取り組むがゆえに“やらなくてはいけない”という思いが先になってしまい、いつのまにか“やること”がすべてになる。そうなると、疲れるし、充実感も得られません。やっていることが無意味ということではありません。それは、試行錯誤の連続です。だからこそ、常に一つひとつの事に臨むにあたり、なぜ? 何のため? という目的の存在を意識し、常に確認することが大事になるのです。目的が明確になると、同時にテーマや課題、また、「いつまでに」「どのように」というような具体的目標も方法もはっきりしてきます。

あるビジネスホテルの改装の相談に同席する機会がありました。オーナーは、「改装の目的は、お客様に満足とスタッフの働きやすさを現実化したい」と。そこで私は“和”というテーマで目的を追求することを提案しました。すると、「玄関から靴を脱いでいただこう」、「ゆっくりくつろげるように部屋は畳敷きに」、「大きいお風呂とサウナが喜ばれる」等の意見が改装に関わるメンバーから飛び交い、改装の姿、カタチができあがってきました。「綺麗にしたい、売上を上げたい」とした漠然とした目的だけではなく、目的の存在と明確なテーマがあるからこそ、はっきりとしたカタチを創っていけるのではないでしょうか。

 

目的の自覚

どんな些細なことでも目的の確認、もしくは自覚することが大切であると皆様も理解し、認識もしておられることでしょう。しかし、本当に大事にしているかと言えば難しいものです。
経営現場においては、現実を変えようと必死に、真剣に努力をされている。しかし、思うような手応えが感じられない。空回りしていることに焦り、苛立ち、そして迷う。こうした内面世界は、原点または目的を見失ったときに陥る“行き詰まり”ではないでしょうか。まさに車でいえば、ギアを入れずにアクセルを懸命に踏んでいるようです。

このような時にこそ素朴に、純粋に「なぜ? 何のため?」との目的の再確認をすることです。そして、心掛けることは、分からないことを聞くだけではなく、分かっている、これと決めていることでも、きちんと言ってくれる方に確認する。つまり、確認という聞き方もあるのです。

ゴルフをやられている方は皆様経験があるかと思いますが、自分では、まっすぐに打っているつもりでも、どうしても右の方向に飛んでしまう。そこで、あれやこれやと修正するもののますます分からなくなる。そんな時に、仲間に聞いてみると、そもそもスタンスが右を向いているよと、あっさり言われて気がつくのです。あまりにも卑近な例ですが、そういうことだと思うのです。本当に怖いのは、精一杯の努力をしながら、自分を見失ってしまうことです。

行き詰まったら原点に戻る!あるいは原点に帰ることが、前進の力となり、踏ん張れるエネルギーともなるのです。目標のための目標にはしてはいけない。小さなことから、身近なところ一つひとつ、「目的は?」「これは何のためだった?」と自問するところから挑戦していきたい。

自分に立てた決意を無駄にしない一年にするためにも。何より人生や仕事に対して真正面から向き合うためにも。あらためて、目的の自覚がいかに大切で重要か。しかもその確認は極めてシンプルだと思うのです。

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