元号が『平成』から『令和』へと変わりました。思えば、時代と共に人材教育の難しさも変化してきていると感じます。

この5月、世の中では10連休、大型連休だと賑わっていますが、飲食業などにとっては書き入れ時であると共に、アルバイトはじめスタッフの確保、モチベーションの維持が非常に難しい面があります。

ニュースでも取り上げられた外食チェーンやコンビニで起きた問題。アルバイトスタッフが意図的に問題行動を自ら動画投稿する。なかなか理解し難い行動ではないかと思います。

また実際に、あるクライアントの社長からあった話ですが、昨日まで元気に出勤していたスタッフが次の日から突然来なくなってしまった。理由を確かめると心身の問題だとのこと。そのような予兆は全く気付かなかったし、思い当たらない。全く理解できないと。社労士に相談するなど対応はしたものの 、必要最小限の人員で経営している中小企業にとって非常に大きな問題となります。

相手を理解することの難しさはこれまでもお話ししてきましたが、時代が移り変わる象徴的なこの時に、私たちに何が問われているのか、あらためて考えていきましょう。

育成にあたって優先すべきは?

「最近の若者はすぐに辞めてしまう、どうしたものでしょう」と相談されることがあります。

どういうスタッフが何を理由に、どういう辞め方をするのかで、アドバイスの中身は違ってきます。会社の魅力という問題もあれば、スタッフ自身の問題もあります。

ですから、辞めることに対する捉え方は一概には言えませんが、確かに世間の話題に耳を傾けると、そこには『ゆとり世代』と言われる特徴があるようです。厳しさに弱い、プライベート重視、貪欲さに欠ける、等々と。そうした彼らに、さらなる向上心を持たせ、より積極的に仕事に取り組むようにするにはと悩むリーダーは少なくないようです。

よく言われることで、過去と他人を変えることはできませんが、未来と自分を変えることはできます。つまり、ゆとり世代といわれる若者たちの傾向性や彼らが受けてきた教育を変えることはできません。しかし、彼らを育成するこちら側の姿勢と、彼らを成長へと導く育成方法や育成の中身は変えることができます。本当の意味で問われているのは、そうした若者たちを採用し、どう育成していくのかという我々企業側です。

多くの場合、企業は仕事の能力や技術的なことを教えます。しかし、優先すべきは人間教育です。すなわち、知識や能力を活かすベースとなる、人生観や仕事観、目的観や使命感といった職業人としての基本です。我々はどこか、能力や成果に重点をおく傾向が染みついています。仕事の出来るできない、能力の高い低い、等々。そしてその結果、自分が認める基準に達しないスタッフをどうしても責めてしまうものです。

しかし、アンリミ哲学が目指すものは、親は子を守るように『上司は部下を守る』です。部下を守る視点として大事なことは、自分の基準ではなく、スタッフ一人ひとりの今の状態を基準にして相手を見ることです。

「なんでできないんだ」というような責める姿勢が生じるのは、「このくらいはできるだろう」と自分の基準で見てしまっているからではないでしょうか。そうではなく、相手の現状を基準にし、「さらなる成長へ導くには」という前向きな発想をすることが大切です。

 

理解は出来ずとも・・・

確かに、世代によって特徴や傾向性はあるかもしれません。しかし実際には、一人ひとり違います。厳しく言って奮起するタイプ、優しく教えて向上心を伸ばすタイプ、等々。また、育成の方向性もスタッフによって違います。「もっと積極的に」であったり、「もっと慎重に」であったりと。それら一人ひとり違う人間を一律に育成しようとすれば、思うように成長しないスタッフがでてくるのは当然のことです。

つまりは、人間一人ひとりを知ることです。とはいえ、若者たちを見ていると、理解に苦しむことが多いのも現実です。どうしても、『それはおかしいだろう』と思うことがあります。理解できないのはもっともです。我々とはまったく違う教育と時代観のなかで育ってきたわけですから。危ぶまれるのは、理解しようと努めているのに理解できずに、『リカイ』が『イカリ』になってしまうことです。

理解できずとも、認識する、それが大切だと思うのです。「最近の若者はそうなっているのか」、「この人はそういう考え方をするのか」と現実を認識することです。そこに葛藤はないのかと言えば、あります。『ありえない』とか『俺たちの頃は』といった思いはなかなか拭えません。そうした思いをもちながらも、目の前にいる〝一個の人間〟を認識するのです。

とかく、私たちは自分の基準や善悪の判断を先にもってきてしまうものです。認識せずして、こちら側の考えや価値観を一方的に教え込もうとしても、逆効果になるばかり。もちろん、現状を認識し、それでよしと妥協するのではありません。よくよく相手を認識したうえで、成長する方向へと導くのです。人間尊重をベースに、確かな人生観を育む企業を目指していきたい。

 

参考書籍

「アンリミテッド・フィロソフィー」

P39ー40 人材育成―組織の団結   P128 人の心を知る努力