無限提言133回 5月

相談できる人

誰もが楽しみなゴールデンウィーク。業種や業態によっては、むしろ繁忙期となる場合もありますが、過ごし方は様々かと思います。そして、このゴールデンウィークが明ける頃から、心や体の不調が表れることを、世間では五月病と呼んでいます。新年度からの環境の変化に適応できないストレスが、大きな要因とされています。新しい環境や課題に、必死に挑戦していくが、過度なストレスに心が病んでしまう。こうした背景を踏まえ、国はメンタルヘルス不調者の予防策として、ストレスチェック制度を義務化するまでになりました。この制度は、経営者と本人に、ストレスの軽重を気づかせ、職場改善につなげる目的があるようです。
最近では、こうした問題の相談が多いのです。どうしたらストレスが解消されますか?その対処法は?と。どうしても話は、ストレスそのものが問題となりがちです。
そこで、先ず大事にしたいことは、私たちは、常にストレスのなかに生きているという認識を持つことだと思うのです。そもそも地球上に存在する限り、常に重力というストレスがかかっています。飛躍しているかもしれませんが、生きていれば、必ずストレスはあります。つまり、ストレスのなかに生きているのです。
しかし、実に厄介なことは、人が感じるそのストレスの程度は、一人ひとり皆違う。それぞれに違うストレスを抱え、生きている。そこが難しい。
また、ストレスには落とし穴があります。それは、本人としては精一杯頑張っているので、自分を客観視できなくなり、自分自身を見失ってしまうのです。
人は、ストレスによって鍛えられもするが、ストレスに耐えられる限界値もあります。本人にとっての過度なストレスは、病や事故をも引き起こしかねません。

そこで大事になるのは、相談できる、話せる人の存在です。あの人には本音で話せる、本気で受け止めてくれるという存在は、極めて大事になります。本人が持つストレスは周りから見えないし、特定もできません。自分自身が苦しい時に、心が折れそうな時に、何でも相談できる存在を身近に置くことです。そうすれば、現実のストレスはなくなりませんが、自身の内面にあるストレスが緩和できるのです。

持つべきストレス

相談できる人の存在。そうはいうものの、相談できる人、支えとなる存在がいない。そこで、どうすればよいのかと思われるかもしれません。
ここで、やはり“聞く”ということの大切さを確認しておきたいのです。私たちは、親や先生、人生の先輩から様々なことを聞いて教わり、育てられました。聞くことで、成長をしてきました。しかし、年齢を重ねるにつれ、次第に自ら聞くことが少なくなってしまう。聞いて、成長してきたのに、聞かなくなれば、成長も止まってしまいます。実は、この素朴に“聞く”ということは、自身のキャパシティを開き、拡大していることでもあるのです。同時に、自己感情中心の自分から、相手感情優先への挑戦ともなっているのです。

日常の現場でいえば、遅刻してきたスタッフがいる。頭ごなしに「何やっているんだ!」と叱る。一方、先ずは「何かあったのか?」と聞く。これは、大きな違いです。
とかく、自己感情を優先すれば、相手に余計なストレスを与え、結果、より大きなストレスが我が身に返ってきてしまう。つまり、私たちは自己感情を抑え、相手感情を優先するという持つべきストレスがあるのです。
先日も、某大臣の感情的な発言が報道されたが、その場、その場で相手感情を優先することは難しい。どうしても自分の感情が優先してしまう。だからこそ、日頃の訓練により、どういう状況であっても動じない自分を鍛えていく。ある意味、セルフコントロールする。自己感情で失敗した苦い経験を、積み重ねながら、自分自身を創り上げていきたい。

繰り返しになりますが、現実のストレスはなくならない。あらためて、聞くことを基としてまいりたい。ストレスを乗り越えたぶんだけ、後になってその苦しみの意味が分かる。そして、感謝ができるのです。こうした実践の努力が原因となり、結果として、心から相談できる人と出会えるのではないでしょうか。

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