先日、サービス業を営むある会社の社長とお会いする機会が有りました。その中で、

『会社が生き残っていくためには、何をどうすればよいのでしょうか?』と質問をいただきました。集客、人材の確保、育成、新たな事業展開、時代状況の変化への対応など様々な課題を抱える中での問いと感じました。

それに対し、生き残ることを考えるのではなく、お客様や地域から何が求められ、どういう企業が望まれているのか、所謂、存在価値を改めて確認してはどうですかとお話しをさせていただきました。

 

経営の目的

だが、会社を存続させないことには、スタッフを守ることはできないし、社会貢献もできない。変化激しい今の時代、そんな悠長なことは言っていられないのでは?という意見もあります。確かにその通りです。けれどもここに、大きな落とし穴があります。

生き残るための企業経営と、地域社会やお客様のための企業経営。微妙な違いでありながら、そこには、決定的な違いがあります。

創業間もない頃は、意識・無意識にかかわらず、何をすればこの地域で受け入れられるかと考え、商売をしていたはずです。それが時間経過とともに、存続することが目的となってしまう。

つまり、企業存続のための地域社会、企業存続のためのお客様になってしまうのです。目的の誤りに気づかず、すべてが逆さまになってしまう。

企業の大小にかかわらず、何のために経営をするのか、企業の存在価値を追求することが極めて大切です。

 

存在価値の追求

「存在価値」と言っても、価値には様々あります。身近な言葉で言えば、安いという価値と高級という価値、あるいは、便利という価値もある。環境配慮や健康志向という価値もあります。

時代の流れや地域の違いによって、求められる価値は変化しています。三十年前と現在、都市部と地方、日本と海外とでは、求められる価値は明らかに異なります。そうしたなかで、どこに存在価値を置くのか、もしくは、どう存在価値を創造していくのか。

たとえば、セルフサービスが主流となったガソリンスタンド業界でも、今なお、有人スタンドを貫く企業がある。経営的視点でみれば、非効率、労働生産性が低い等々の問題があるはずです。そのなかでなぜ、有人を貫くのか。それは、有人でなければ果たすことのできない価値を追求しているからではないでしょうか。オイル交換のタイミングやタイヤ空気圧の点検等々に関わり、お客様の安全を守るという使命が、本来その企業にはある。有人という長所を活かし、サービス内容も含め、新車・中古車販売、車検、カーリースやレンタカー業務など、時代の流れに合わせ変化させている面もある。

これは存在価値を追求した一つの事例ではないかと思います。もちろん、同じことをしても、目的に誤りがあれば存在価値を創り出すことはできません。

大事なことは、時代の大きなうねりのなかで、『お客様の満足』を根幹に、自分たちだからこそできることを、積極果敢に追求していくことです。

アンリミテッドの創立者はこう言っていました。「他のコンサルタントができるのならば、アンリミはいらない。しかし他のコンサルタントができない、身代わりが利かないとするならば、どんな苦労があってもやらなくてはならない、そう考えています」と。

小規模であっても、だからこそできる存在価値はきっとあります。何のために経営をするのか。時代の変化のなかで、企業の存在価値を追求していかなければ、価値はなくなってしまいます。結果として存続はできないということです。

生き残るために存在価値を追求するのではありません、存在価値を追求するから生き残るのです。いかに喜びを、いかに満足をと、この一点をベースにして、縦横無尽に方法論を展開し、地域社会や個々の業界における存在価値を創造する戦いを共にしてまいりたい。

 

テキスト

『経営の人間学』

P13 目に見えない世界

P101 使命の自覚