意思統一の柱
今年の夏は、最強の台風、集中豪雨、更には巨大地震と、次々に自然災害に苦しめられました。企業の内部留保は過去最高とのニュースも流れましたが、一部の大企業等がその恩恵に浴しているのみで、実感としては「好況」は感じられないというのが本音です。まさに、経済的にも生活面でも打ち寄せる荒波は止むことがありません。そのような大変な状況のなかで、私たちはどのように経営の舵(かじ)をとっていくか、どのような考え方で臨めばよいのか、また、どう戦っていけばよいのか。
私どもアンリミテッドクリエーションは、この9月1日より会計年度で第2期を開始しました。今期、私達アンリミメンバーは『闘い』という、非常にシンプルで分かりやすい言葉をテーマとして掲げ、戦って参ります。
今回の無限提言では「年間テーマ」について確認したいと思います。
組織において、よりパワフルな前進をしていくために大事なことは、組織を構成する個々人の意思が同じ方向に向いている集団であることです。団結力のある組織にはリーダーを中心とした意思の統一は欠かせません。ラグビーのスクラムを思い起こせば分かるように、それぞれがバラバラな方向を向いていては、組織の力を発揮することはできない。
「年間テーマ」は、一年間を挑み切っていく意思統一の柱です。つまり「このようにやっていくぞ」と年毎に示すリーダーの〝意志〟です。最近では、年間テーマを掲げる企業も多くなってきました。それらに加え、キックオフイベント等で年間事業計画や年間売上目標などを社内に示し、一年間に臨みます。
大切なことは、そのベースにある考え方です。その考え方が売上や利益を優先したものなのか、あるいはスタッフ一人ひとりの成長を優先したものなのか。とかく会社経営は、売上や利益を自然と優先してしまうものです。だからこそ、我々は、各人が成長し、充実した一年にすることを最優先に考え、「年間テーマ」(行動指針)を第一に掲げています。当然、各人の目標には個人差があります。スタッフには、営業もいれば総務もいます、経験の浅いスタッフもいれば管理職もいます。目標に個人差はあっても、組織の目指すべき姿は、テーマに沿ってどういう一年にするのかを各々が明確にして、同じ方向に向かい戦うことです。
事業計画も売上目標も勿論必要です。しかし大事なことは、スタッフにとって柱となるもの・・・その一つが年間テーマ(行動指針)を示すことではないでしょうか。いうなればそれは、トップリーダーの強い意志ともいえます。
リーダーの強烈な意志
〝強い意志〟と言いましたが、発表し、明確に示せば、意思の統一ができるのかといえば、そうではありません。
私が二十代のころ。その当時の自分にとって、年間テーマの意味がわかりませんでした。他の先輩方々が、打ち出された年間テーマを見て「いいな」と目を細めるのに対し、いったい何が嬉しいのか?と不思議に思っていました。当時、私はといえば、現場の売上や顧客のことで頭がいっぱい。はっきり言ってそれだけでした。打ち出されたテーマは別世界のことのような、それくらいギャップがありました。
しかしながら、実際には、創立者鈴木昭二会長から毎回示された年間テーマ(意志)に巻き込まれ、飲み込まれていき、意味がわからなくとも、年間テーマに沿った挑戦と実践を繰り返していました。これこそが、リーダーの〝強烈な意志・一念〟のなせる業(わざ)ではないかと思います。
スタッフ自身のテーマに対する理解度や認識具合は様々です。しかし大事なことは、スタッフ一人ひとりがそのテーマに沿って前に進むよう巻き込んでいく、リーダーの〝強烈な意志〟あるいは必ずこうしてみせるとの〝強き信念〟が大事だと思うのです。
自然災害、困難な人材確保、資金繰りの不安等々、会社の経営現場の荒波は今後も止むことはないでしょう。波高く荒れた海にも、厳然とした水底(みなぞこ)の流れがあります。表層の荒波に乗ろうとするのではなく、深層にある流れをじっと見据える。そして荒波に翻弄(ほんろう)されることなく一年間を主体的に挑む。
「今年一年はどんな年になるのか?ではなく、今年一年をどんな年にするのか!」とは鈴木会長の言葉です。
今年一年をどう挑むのか、「年間テーマ」に思いを込めて、一つでも具現化していきたい。
参考書籍
P87 リーダーの一念
「創立者鈴木昭二」
P130 意思統一
など