「アンリミさんから度々言われて、スタッフやその家族も含め人を大事にする大切さは感じていますが、具体的にはどういうことなのか、ボンヤリとしています」と、先日ある合同勉強会で質問を受けました。
今回は、人を大事にすることとはどういうことなのか?とのポイントで学んでいきたいと思います。
結果において良くする
我々の目指す哲学は、人間を大事にする哲学です。そのために、相手を知る、苦しみを取り除く、喜びを提供する、等々のことを提唱しています。こうした実践規範がある一方で、これらのことを実践しなければ、人を大事にしていないことになるのでしょうか。
たとえば、親は我が子を無条件に愛し大事にしています。けれども、子供のことで知らないことは数多くありますし、苦しんでいることに気づかないこともあります、また、気づいたとしても対処できないこともあります。このことを指して、子供を大事にしていないとなるのでしょうか。人を大事にするとはどういうことなのか。
人を大事にするとは、結果において相手を良くすることだと考えます。仕事に行き詰っているスタッフがいる場合、方法論をアドバイスすることもあるし、手伝うこともあります。もしくは、厳しく叱咤激励することもあります。やり方は様々ですが、大事なことは、その場の仕事をクリアすることでなく、今困っていることを通して、同じことで将来、困らないようにしてあげることです。この点を見失うと、大事にしているつもりが、結果的に大事にしていないことになることもあります。
たとえば、お金に困った友人にお金を貸す。そのこと自体は善意だし悪いことではありません、友人はピンチをしのぐことができ非常に感謝します。しかしこうしたケースでは、友人がさらに借金を増やすことは少なくありません。そればかりか、さらに大きな問題が起こり、お互いが傷ついてしまうこともあります。
つまり、目先の対応をすることが、人を大事にするとは限らないということです。もちろん、できる限りの手助けや、アドバイスは大切です。ですが、大前提に、結果として相手が良くなることが大切です。
根本から良くしてあげる
人を大事にすることは、やり方・方法ではありません。相手を知ろうと会話を重ね、懇親を図ろうと食事をし、困っていれば助け、記念日にはプレゼントをする、それなのに、相手からは感謝も喜びも感じない。そして、スタッフを大事にすれば業績は上がると学んだはずなのに、業績が上がらないといった声を聞くことがあります。
実は、やり方・方法をいくら追求しても、人を大事にすることはできません。人を大事にする、それは、親睦を深めることが目的ではありません。一時の喜びを提供することが目的でもありません。まして、会社のために人を大事にするのでもありません。人を大事にするのは、相手の幸せのためです。
つまりそれは、根本から良くしてあげることです。課題に挑戦する勇気を育むこと、周りから好かれる人にすること、信頼される人にすること、そして行き着くところは、人生観や使命感、より正しい目的観へと導くことです。
自身の境涯以上には、人を大事にすることはできない
人を大事にするうえで、極めて大切なことは、自身の器、境涯(きょうがい)です。自身の器(境涯)以上には、人を大事にすることはできない。別な言い方をすれば、自身の心の根底で、どれだけ相手の幸せを追求しているのか。ここに、人を大事にする急所がある。どこまでも自身の成長を志し、人を大事にする一念が高まっていれば、接点が少なくとも、初めて出会った相手であっても、また、特別大げさなことをしなくとも、人を大事にすることができるのです。
スタッフの成長を願い、スタッフを守りたいと願うならば、先ずは自己変革と自己成長です。つまりそれは、より正しい目的観、正しい使命感、そして人間尊重の哲学を我がものにすることです。
参考書籍
P39 人材育成 P98 一人を大事にする