よろこび

 

以前に、全社的テーマを「新たなる挑戦・『PRIDE』」と掲げて戦ったことがありました。このテーマにおける大事なポイントは、“喜び”の存在だと語り合ったことを今でも覚えています。

世の中は、確かに少子高齢化による人手不足の問題や、
そのことにより業界自体が停滞していることは実感として認めます。
しかし、人手不足や、厳しい業界であっても
喜々として頑張って働いている実態(そういう会社)も存在します。
“人手不足”や“厳しさ”が原因ではなく、“喜び”がないことが原因(本因)で
直面する現実に心を奪われてしまい、
将来を描けなくなってしまっているように思います。

忘れてはいけないのは、自分を含めた一人ひとりの内面にある喜びの存在ではないでしょうか。

私どもがカウンセリングなどでお伝えしている“喜びの提供”とは・・・
先ず、一人ひとりが抱える悩みや苦しみを取り除くことです。
次に、未来を明かにすることであり、現在の意味合いを教えること、
そして、共に闘い、共に苦しんで、共に将来の夢を見ることです。

しかし、このように伝えると
「“未来を明かにすること”は分かりますが、その“未来”が、私には見えません!」と、
あるトップリーダーから言われたことがありました。

確かに将来展望が見出しづらいという現状もあるかもしれません。
しかし、その未来に本気で向き合い、悩み、考えることが、トップリーダー本来の仕事であり、役割ではないでしょうか。

 

自らの主体性

 

私が入社して間もなく、創立者が担当されるカウンセリングに同行する機会がありました。
そのなかで、クライアントオーナーは、苦慮する売上や利益に関する質問をされる。

すると、創立者は「いくらの売上が足りないの?いくらあればいいの?」と尋ねる。
オーナーは「あと2億程の売上があれば・・・」と答えると、
「じゃあ、俺が2億をやるよ」と創立者は言われ、
私は一瞬、ドキッとしました。
続けて「それからは、どうするんだ?」と。
それを聞いた相手は、ハタと止まってしまいました。

つまり、本当の喜びは何処にあるのかと。何のための売上なのか。
確かに、無いもの、足らないものを得られる喜びもあります。
しかし、創立者は、オーナーの苦しみを察し、気付きを与える。
この現状に向き合い、未来を明かにし、共に前進することが喜びなのだと。
前述した“喜びの提供”をされる創立者を目の当たりにし、私自身も強く印象に残る場面でした。

アメリカの物語に『少女パレアナ』という実話をもとにしたお話があります。
少女パレアナは、亡き父との約束である“何にでも喜びを見出す遊び”で、周囲の人々の心を明るくしました。

私もこの物語に、何度も救われた一人です。
逃げ出したくなる出来事に対しても、喜びに切り替える前向きな捉え方を学びました。
それは、決して気休めではありません。
こうした主体性を持った人は強いと思います。
たとえ事業が行き詰まり、将来が見出しづらくとも、
こうした強い主体性を身に付けることで視野が広がり、
知恵も湧き、未来が開けてくるのではないでしょうか。

 

喜びの提供とは、何か特別なものでも、大きなものでもありません。
身近な一人からです。
その一人とは、先ず自分自身であり、目の前にいる一人です。
また、一人ひとりの喜びは違う。
だからこそ、誠実に対話し、相手をよく知らなければいけません。

今回、パワーアップセミナーと銘打ち、
クライアントスタッフの為の3ヶ月集中型セミナーを行っています。
そのセミナーで中心となるのが、個人面談(ONE on ONE)。
数時間にわたり、一対一で対話を行います。
思い描く将来を真摯に傾聴することで、受講者も講師側も互いに前向きにもなれます。

今回のセミナーを通じ、あらためて相手と自分との間の一対一でしか分からない絆を、
丁寧に作ることがとても大事だと再認識しています。

セミナーに限らず、日々の現場に於いても、先ずはこの一点から実践を始めてまいりたい。