世間の出来事を鏡にする

 

どういう一手を打てば、活路を見出せるのか。

世の中では、ITの発達~DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み、市場の変化、価値観の変化、為替変動、災害、そして感染症による影響など様々な出来事が起こっている。こうした現実の動向をよくよく心得ながら、的を得た一手を打っていきたい。世間や身の回りで起こる様々な出来事から、何をどう見て、どう考え、経営現場に活かす一手を打つことができるのか。

 

そのために先ず大事な視点は、世間で起こっている事象・出来事を鏡にして自分自身を見ることです。つまりそれは、世間や身の回りの出来事を単にニュースとして見るだけでなく、そこから、自社の課題やマイナスポイントを見つけ、改善・創意工夫をすることです。たとえば、食中毒事件や(感染症の)社内クラスターのニュースを見て、我が社でも同じようなことは起こりえないか、または、万が一起きてしまった場合、我が社ではどう対応するだろうかと自社を見る。

事の本質は『社会がより安全を志向するようになっている』と見て取り、そして、『社会の価値観の変化に合わせて自社の改善工夫をする』ことです。円高、スマートフォン、AI、自然災害、企業コンプライアンス、芸能関係から政治にいたるまで、あるいは社会現象から身近な家族問題まで、様々な事象・出来事から、時代の価値観をいかに的確に掴んで、自社に活かしていくかが大切です。

 

問題意識の強さと正しさ

以上のことを一言集約して言えば、それは『問題意識』です。

問題意識の違いが行動の違いに全て出てきてしまう。たとえば、飲食店にて玄関での受け入れ強化を考える。けれども、雨の日も、風の強い日も、暑い日も、寒い日も同じ対応になっていたとしたならば、それは、そういう問題意識の表れなのです。強い問題意識がなければ、何を見ても聞いても生きた情報とはならない。

明るく元気にと、毎回大きな声で挨拶を心掛け迎える。確かにそれはとても大事ですが、もう一歩突っ込んで、一人ひとりのお客様のことを受け止めながら丁寧に声がけを試してみる。「雨の中ありがとうございます!」「感染対策のご協力感謝いたします!」「〇〇様、先日に引き続きご来店嬉しいです!」などの一声だけでもと心がける。挨拶ひとつとってもお客様の印象は全く違ってきます。

問題意識で大事なことは、その強さと正しさです。強さと正しさによって、同じものを見ても、見えるもの、取り入れるものが違ってくる。ある結婚式場では、列席者を車で迎えに来るその家族の方々に対し、車の中でお待ちいただくことに申し訳ないと、簡単な飲み物と紙おしぼりを配り、長くなりがちな待ち時間に気の利いた対応をする。かたや別の式場では、列席者の迎えのための車が数多く玄関前で待っていることにも気づかず、気づいたとしても送迎バスの邪魔だといわんばかりの対応をする。問題は、どちらがお客様は満足するのかという問題意識です。儲かるという問題意識、費用が掛かるという問題意識、スタッフやお客様が喜ぶという問題意識、そうした問題意識の違いによって何をするかが変わってきてしまうのです。

i-padを見たある社長は、これを営業ツールで活かせば、営業マンはやりやすくなり、顧客対応もよくなると考え、全営業マンにi-padを持たせる。方や別の社長は、その利便性に驚くが、今のところ営業も顧客対応にも問題はないとして、個人的に利便を享受するにとどまる。卑近な例ではありますが、これも問題意識の表れです。

会社を良くしたいと誰もが思っています。けれども結果が違うのは何故か。それは、問題意識の強さと正しさが結果に表れているのです。アンリミ創立者は「お客様に満足を!寝ても覚めても考え、創意工夫を続けなさい」と問題意識の強さと正しさを分かりやすく表現していました。そうした問題意識で身の回りや世の中の事象・出来事を見れば、次に何をすればいいかではなく、次々とやることがありすぎて困るとなるのではないでしょうか。

大事なことは、改善・創意工夫を一つひとつ積み上げていくことです、時代の流れに合わせ、お客様の変化に合わせ。当然、やれば失敗はつきものです。成功することよりも失敗することの方が多いのが現実ともいえます。けれども、「一人のお客様のために」と常にお客様が喜ぶことを考え悩み、改善と創意工夫を繰り返す。その積み重ねを続けることで、あの会社はすごいとなるのです。

繰り返しになりますが、世の中の出来事や変化を見て、自社に当てはめる。我が社ではどうなのか、あるいは、我が社でどう活かせるのかと。そうした問題意識で、悪い事はやめ、良い事を増やす。成功も失敗も併せて色々とやっていくなかに活路が見出されるのではないでしょうか。