人生は人との出会いで激変する
仕事でもプライベートでも、私達はいろいろな人達に「出会い」ます。人によって、一生の間に出会う人数は異なりますが、人生とは出会いの連続であり、日々の生活は出会いによって綴られています。いつしか忘れてしまう出会いがある一方、強烈な印象を残す出会い、あるいは一瞬で人生を変える出会いもあるでしょう。
自分を変えたり、人生が激変する契機が、人と人との出会いによることは多く、私達は「出会いによって変わる」といえるでしょう。それぞれの出会いをどのように感じ取るかで、私達は良くも悪くも変わります。「あの人との出会いがなければ、いまの自分はない!」という思いを抱いている人もいれば、「あの人と出会ったことが、失敗につながった……」と感じる場合もあるでしょう。同じ人との出会いでも、それをいかに感じ取るかによって、大きな差が生じるのです。しかも、出会いは計算通りにはいきません。こうした出会いという身近な出来事について考えてみます。
求めるものの違いによって
ある会社のA社長と、様々な商品を扱う営業マンBさんが出会いました。A社長は「Bさんと出会い、私はラッキーだ」と思っているのに、Bさんは「A社長と出会ったが、あまりメリットはない」と感じました。こうした差がなぜ生じるのでしょうか?
それは、相手に対して求めるものが違うからではないかと考えます。A社長にとって、Bさんの扱う商品の種類の豊富さをプラスと感じ「とても良い出会い」だと思ったのですが、一方BさんはA社長の希望価格が低いため「あまり良い出会いではない」と感じた。こういったケースは、私たちのビジネスシーンでは日頃よく見受けられるケースです。
同じことは、スポーツ選手とコーチの関係にも生じます。試合で「そこそこ楽しめれば、それで満足」と思っている選手は、勝つために過酷な練習を強いるコーチとは出会いたくないでしょう。求めるものや互いの目標が違えば、出会いは成果を生まないのです。選手は「厳しすぎるコーチを変えたい」と思い、コーチは「その考え方では結果はついてこない」となり、結果、一緒には戦っていけないことでしょう。けれども、そんな考えの選手だとしても「私も優勝を目指そう!!」とやる気を起こす指導のできるコーチだとしたならば、状況は全く異なります。選手は「コーチに出会い、私は変わった」、コーチは「才能のある選手と出会い、育てる喜びを得た」と、プラスに転じるのです。
先日の全米女子オープンテニスで、大坂なおみ選手が日本女子初のメージャータイトルを手にしました。そのニュースの中では専属のコーチングスタッフが一躍話題になりました。メンタルが大きく左右するといわれる競技にあって、コーチから選手へ勇気付ける対話の様子や関わり方はテレビやウェブニュースなどでも多く紹介されました。彼女自身の成績やランキング※も、本来の能力や技術に加え、サーシャ氏との出会いによって大きく変化していったのはご承知の通りです。
(※2018年10月1日現在 ワールドランキング6位)
同じ目標を共有する幸福な出会いを!
「来月の試合で良い結果を出したい」という気持ちだけで、コーチに頼み込む選手もいます。ですが、それでは多くの有益な指導はなかなか難しいことと思います。選手の将来の展望までを見据えるコーチは「お互いに求める目標が違う」と答えるでしょう。良い結果を出すには、中長期的な視野に立って、基礎トレーニングや、例えばフォームの改善などが必要な場合があります。更には基本的な姿勢を含めたメンタル面の強化は選手にとって将来の力となります。次の試合の結果のことだけで頭がいっぱいの選手と、将来の展望を重視するコーチの双方が意固地になっては、良い出会いにはなりません。その時々にベストを尽すことは言うまでもありませんが、お互いに同じ目標を設定できた時に、その出会いは幸福な出会いへと昇華するのです。
この選手とコーチの関係は、目の前の目標を達成したいと願う経営トップと、将来の展望を重視するアンリミテッドのカウンセラーに置き換えることもできるのではないでしょうか。経営現場では、つい目先の〝売上〟が気になりますが、私達はクライアントの将来の展望や発展・安定も大事と考えています。時には目先の利益を優先せず、一見遠回りのような実践を促すことが有ります。
あるウエディングの専門式場での実例ですが、売上が上がらない、集客が思うようにならないと嘆く支配人がいました。会社のトップからは月間獲得、成約率の低下を責められ、ネットでのリスティング広告や集客コンサルの導入、更には業界誌のページ増加を行おうとしておりました。それらは、手法としては決して間違ってはいないのですが、問題の本質はどこか置き去り。つまり自身のことが見えなくなっている自分に全く気付いていなかったのです。
カウンセラーからは、結婚式を挙げて下さった顧客を一件一件アフターフォロー(御礼訪問)し、至らない点、不満足な点を徹底取材するようにとの指導がありました。これは非常に手間と時間がかかる取組みです。が、結果的に、結婚式に対するマンネリ感、感動の薄さ、変化の無さ等々、要は『喜びの提供』が全くできていない実態を知るに至ります。本来の自分たちの仕事の意義の再認識、そこから湧きおこる喜びが、スタッフ一人ひとりへの波動となって、その後、集客の取組みも様々に開始し、本来の姿を取り戻していきました。
クライアントと私達アンリミ・カウンセラーは、共に幸福な出会いを求めているはずです。そのためには意見を交換し、互いに成長できる関係作りが大切です。これは、社内のリーダーとスタッフ、或はお店とお客様の関係にも言えることと思います。
会社組織は、そのため(=幸福な出会いのため)にあるものなのかもしれません。
参考書籍
P88 指導者の存在 P112 自分を高める