コロナウィルス感染が広がって2年になります。この2年間で仕事も家庭内も大きく変わりました。

≪参考:内閣府 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査 ≫

 

リモートワーク等によって、スタッフのエンゲージメント、モチベーション、心理的安全性など様々に難しくなっています。また、その先にある各人の生活の基盤となる「家庭」にも影響が出てきています。家にいる時間が増えた、家族との食事や会話が増えた、ワークライフバランスが取れるといった良い面もありますが、それだけお互いの負担も増しています。仕事面で良いパフォーマンスを継続するためにも、より良い家庭・生活面での充実が問われています。

今回は「家庭の問題」と題して、努力の角度や物事の捉え方を考えて参ります。

 

努力の角度

仕事に励む一方で家庭の問題を抱える方は多いと思います。家族の病気や事故、子供の学校でのこと。あるいは、嫁姑問題や親の介護、夫婦関係など解決したくともなかなか思うようにいかないことがあるものです。
ほんの一側面に過ぎませんが、たとえば、昨今、非行や不登校、心の病など、問題を抱える子供は少なくないようです。その親御さんは、子供の将来を考え様々に手を尽くしておられることでしょう。

本人に対する助言や激励など成長を促すことは必要なことだとしても、大事なことは様々に起きてくる問題を通して子供の苦しみや悩みにそっと寄り添い、より強い絆をつくっていくことが大切なことのように思います。
夫婦関係にしても、問題にならないようにと努力をする一方、つい感情的になってしまうこともあります。奥さんの言動は自分に対する不満の表れかもしれませんし、自分や子供たちを思ってのことなのかもしれません。ともすると、相手のマイナス面ばかりに目がいき、良いところや感謝すべきところを見落としてしまうのではないでしょうか。
また、嫁姑問題で妻と母との板挟みで苦しいといったことはよくある話です。問題に向き合い、二人の話を本気で受け止めようと腹を決めたならば、何かしら違ってくるのではないでしょうか。大変さや苦しみをわかってくれる一人の存在がどれほど大切なことか。
申し上げたいことは、家族の問題は、問題そのものが問題なのではなく、その環境に生きている主体者、つまり自分の問題なのです。そして、問題を自分のこととして受け止め、自分を鍛えるという角度が、根本的な解決に向かう唯一の努力の角度であると考えます。

問題に悩まされなくなる

家庭の問題と向き合おうとしても、仕事に精一杯でなかなか向き合えない。かといって家庭を優先すると仕事が疎かになってしまうというようなことは少なくないでしょう。
一つ言えることは、家庭においては「質」が大事になってくるように思います。
わかりやすいことで言えば、奥さんの話を聞いても仕事に疲れてどこか受け止めきれないところがあったり、子供と関わっていても気持ちは別なところにあったり、さらには、自分がしていることと求められていることが違っていることもあります。家族で出かけるよりも庭の草むしりをして欲しい、もっと言えば、特別なことはしなくてもよいから私の大変さをわかって欲しい等々と。
仕事に全力を出す一方で家庭としっかりと向き合うことは、現実、簡単ではありません。大変な労力と葛藤が伴います。だからこそ、「絶対に負けない」と自分と戦うなかに主体が強化されるのではないでしょうか。

言うなれば、より豊かな人生、より充実した家庭を築く訓練です。そして、自分が強くなった分、仕事の問題も家庭の問題も結果的に乗り越えているのです。たとえ問題は解決しなくとも問題に振り回されない自分になっていたり、あるいは、大変さは変わらなくとも苦痛ではなくなっていたりなど。例えるならば、厳しい環境に対して、チャレンジ精神で挑むのか、逃げる気持ちでやり過ごそうとするのかによって、その苦しみが違ってくるように。
ともすると、相手や周りの変化をどこか期待したり、避けたい思いが沸き起こるものです。実は、家庭の問題というものはなくならないものだと思います。表面化していないだけで内在していたり、解決したと思っても根本的には解決していなかったりと。それだけに、繰り返しになりますが、自分のこととして問題と向き合い自分を鍛えることがより大切なことのように思います。

最後に、家庭の問題のなかには、とても切実で難しいものもあります。そうした問題こそなかなか相談しにくいものです。問題を抱え込み一人悩むのでなく、本当に信頼する仲間と苦しみや大変さを共有することも大切なことだと考えます。また企業としては、各人がどのような問題を抱えているのか?会社として出来ることは?との姿勢や具体的施策がより一層求められます。

お互いの身体的距離が離れた今だからこそ、本当の信頼関係に基づいた持続的な取り組みが、益々大事になっているのではないでしょうか。

 

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